経子は初めて感じる気持ちに戸惑いながらも、目の前の少年に話しかけた。 「も…申し訳ござりませぬ」 「あ、いえ。滅相もござりませぬ。経子殿」 「は、はい」 (重盛さまが…私の名を!) 知っていて当然なのだが、それでも経子は嬉しさに心踊らせていた。