上げられた、未だ傷が残っているその顔に、経子は手を伸ばした。 「…父上は、あのように仰せにはなられたが、誠はそなたを心底ご心配なされたはずじゃ。お嫌いになどはならぬ。……痛かったであろう?」 優しい言葉に、資盛は頷いた。 (私は、殿のお考えに従うのみ。ですが…やはり、殿もお悩みになられているのでしょうな……) ――これ以上、殿がお悩みになる御姿を見とうない… そう思い、経子は目を閉じた。