「殿…!資盛は、私たちに獲物をはよう見せようと」 「左様な問題ではない!」 経子の言葉をも一蹴する。 「重盛。此度のこと、黙っておるつもりか?」 「兄上のお子が、かような目にあったのですよ!」 「資盛があまりにございます」 時子や宗盛、資盛の兄・重太改め維盛が口々に言うが、重盛は「此度は礼を欠いた資盛に非がある」の一点張り。 報復もできるのに、重盛は頑として、己からそうしようとはしなかったのだ。