――覚悟はしていたものの、前よりも重盛の顔が疲れている感じがするのを経子は否めなかった。 公卿であり、出家した後白河法皇の近臣でもあり…何より、平家の棟梁であることが、重盛の心を。 そしてそれを近くから見ている経子の心を痛める。 表向きの棟梁は重盛だが、清盛がいる限り、中々こちらの思うようにできない。 重盛が気を休められる場所は、何処にも無かった。