「母上…おじじ様は、お亡くなりにはなられませぬよね?」 重太が不安げな表情で尋ねてきた。 「お亡くなりになど。左様なことはござりませぬよ。そなたたちはおじじ様の御容態が良くなられるよう、御祈りするがよい」 経子は優しく返したが、やはり心配だった。 病床の清盛は勿論…重盛に、これ以上の心労が及ぶことが、経子には……。