そこで、私はひとまずため息をついた。 分かっているわ。 ええ、分かっていますとも。 ここで彼を責めても、仕方がないこと。 どーせ、あの過保護なお父様が言い始めて、過保護な執事が快く引き受けただけの、いつもの話ですもの。 「…今度からは、 せめて裏門でお願いね」 それだけを言って、窓の外に目を向けた。 「畏まりました」 主語がない私の言葉の意味をきちんと理解してくれた執事は、小さく微笑み、少し車のスピードを上げた。