執事の戯言


「あの」


そう話を切り出したのは優からだった。


バックミラー越しに目線だけで私と見つめ、そしてまた前を向く。


「何?」


少し苛立ちを感じていたせいか、冷たく返すことになった。


「やはり、お怒りのようですね…」


口調から悲しんでいるのか、落ち込んでいるのか、そんな心境が伝わってくる。


「お嬢様の了承を得なかったことはお詫びいたします。ですが、もう決まったことですので…」