執事の戯言


「ついにあの子も中学生に…」


涙ぐみながら旦那様が奥様の肩を抱き、奥様も涙を拭いながら、「大人になったわね……」と言っている。


嫁に行くんじゃないんですから。


だが、二人の言っている通り、他のアホ面の餓鬼よりお嬢様は気品溢れるオーラを放っていて、隣に座っている男子なんか、どっちの緊張をしているのか、耳まで真っ赤だ。


あのクソ餓鬼、多分お嬢様に惚れたな。


名前は……、安部太郎。


名前まで普通じゃないか。


こいつを入れてブラックリストに35人。


「優、お前も大変だな」


旦那様が笑いながら俺の背中を軽く叩いた。


「誰のせいだと思っているんですか」


「お前のリストに今何人くらい、いるんだ?」


「35人です」


「35人……。約1クラス分の男を惚れさせるとは……天晴れ!」


「私の心配事が増えて、堪りませんけどね」


「お前がいるから、璃愛の願いを受け入れたんだ。悪い虫がつかぬよう、頼むぞ」


そう言って、にかっと白い歯を見せながら笑った。