──始業式。
「新入生諸君、今日この度──」
新入生を迎えるために装飾された体育館。
真新しい制服と、まだ慣れない新しい学校の雰囲気に心を踊らせる新入生たち。
顔見知りの人もいれば、全く知らない初対面の人まで、今日からは同じクラスとして学園生活を共に過ごすのだから、緊張している人も多いだろう。
舞台上では校長がマイク越しに話し、保護者席では、泣いている親も少なくない。
旦那様と奥様も今日この日のこの時間帯だけは仕事を休み、わざわざ娘の晴れ姿を拝みに来られた。
お二人も仕事で忙しく、なかなか璃愛お嬢様の相手をできないことを悔いておられるからこそ、せめて入学式などの行事にはできる限り参加したいと仰られていた。
俺も付き添いとしてお二人の側にいるのだが、俺の目線はお嬢様よりも他の数百名の生徒を見ていた。
普通なら小学校も私立だったから中学も私立の方に行くのかと思っていたが、お嬢様はそれを嫌がり、庶民が通う市立の中学へと上がられた。
理由を聞いても教えてはくれず、親バカなお二人はその願いを受けたのだが、俺からしたら、心配事がまた増えただけにしかならい。


