客を案内しながらもヒヨコにまとわりつかれたり、ひたすらアイスクリームを作ったり、柵を開けに行ってオオキンクマという大きなネズミに群がられたりしながら、一日が過ぎた。
普段樹のゾーンで見上げるほど大きなピーキーばかり相手にしているせいか、彼より数段小さいとはいえ動物に突進されると、思わず腰が引けてしまう。
爪や牙の鋭くない、人は好きだが危害を加えることはない動物ばかりを飼育しているゾーンなので、怪我をする危険はほとんどないに等しいと、頭ではわかっているのだが。
それでもさすがに、茅野と同じくらいもある巨大なハムスターが全力で飛びかかってくるのを見ては、足がすくんでしまうのも仕方ないだろう。
(疲れた……)
客の相手をして、その傍ら全力で動物たちの相手をして、茅野はくたくたになっていた。
事務所へ帰る道すがら、隣を歩く森をちらりと見る。
やはり視線は控えめだし、口を開けばすみませんが出てくるし、そのくせ腰のくびれも白い太もももあらわになっているが、疲れた顔一つ見せずにけろりとしていた。
「森さん、タフですね……」
「へ!? そ、そうですか?」
「やっぱり体力が違います、私もうへとへとです」
「え……全然そんなふうに見えない、ですけど……」
そうですかね、と呟く。
二人して首を傾げながら事務所へ戻ると、いつもの三人と一匹と、ラビが迎えてくれた。


