行儀よく姿勢を正して待っていると、思いがけない勢いでドアが開いた。
ドアノブを握った森が、なぜか目を丸くしている。
頬が真っ赤だった。


「は、はいっ、すみませんお待たせして」
「平気です、けど……どうしたんですか、大丈夫ですか」
「え、え!? なにがですかっ!?」
「いえ……」


熱でもあるのか、と言おうとした時、森の背後から、条が現れた。
ツナギの袖に腕を通しながら出てくる。
相変わらず挙動の落ち着かない森の肩に手をかけると、へらりと笑顔を浮かべた。


「ごめんねー、気付かなくて。副園長が呼んでるって?」
「はい。私、今日はここを手伝うようにって言われました」
「そっか、よろしくね。一番忙しいのは昼過ぎだから、頑張って」


指の長い条の手が、森の肩から茅野の頭の上に移る。
とんとん、とそこで跳ねてから手のひらを見せて、「じゃ」とおざなりに少し揺れる。

頭を撫でられたのだと気付いたのは、条の後ろ姿を見送ってからだった。
旋毛を押さえるように頭に手を乗せて、再び首を傾げる。
なんの意図かはわからなかった。


「……森さん、何からすればいいですか」
「え、えと、じゃあ、クッキーのラッピングが終わってるので、レジの隣に並べてきてもらえますか」
「わかりました」