事務所へ入っていくと、三人の事務員がデスクから挨拶を寄越してきた。カローラが立ち上がって、ラビを呼び止める。


「副園長、メールバードが来てたわよ」


茅野にも、昨日聞いたばかりの名前だと思い当たる。
ここでの主な連絡手段だと言っていたものだ。
ラビは、バケツをバスタブのそばに置くと、カローラの方へ引き返しながら言った。


「茅野、ドロイさんの餌頼んでいいか」
「はいっ、わかりました」


無表情のまま、声と頷きにだけやる気を滲ませて答える。
バスタブへ向かうと、ドロイが水色の顔を出してバケツを覗き込んでいた。


「おはようございます、ドロイさん。ご飯ですよ」
「はあーい」


ドロイは返事をして、するりと水に潜った。
彼は水から顔を出して食事することもできるが、餌の方は、水の中にいなければ跳ねて暴れてしまうからだ。

バケツの中身を水ごとバスタブへ空けると、コゴイたちは「ヒローイ」「ヒロイヨー」「ウワー」などと声を上げて、一斉に散っていった。
その後ろに、水色の巨体が声もなく忍び寄る。

(うわ、何回見ても……ドロイさん、ちょっとこわい……)


三十匹の素早く泳ぎ回る魚たちを、ドロイは十分もかからずに完食してしまった。
バスタブのへりに顎を乗せて、律儀にも「ごちそうさま」と茅野に言う。


「お粗末さまでした」


ラビが手紙のようなものを読んでいるのを眺めていた茅野は、つられて丁寧に返事をする。
それから、バスタブに顔を寄せて、ドロイに言った。