「条、ふざけてないで急いで食えよ」
「はいはい。悪いね森、ちょっと待ってて」
「あ、いえ、大丈夫です、平気です」
「一服でもしてなよ。アンニカちゃん、ココアお願い」
「はいはーい」


まるで三津が給湯室に立った時のように自然に言う条に、森が俯いて小さな声で礼を言う。
それを見て茅野は尋ねた。


「お二人って、ここに勤めて長いんですか?」
「うん? 俺は……丸四年かな。森も同じくらいだよ、ね」
「あ、は、はいっ」
「入ったのも担当任されたのも同じだから、もうすっかりコンビ扱いだよ」
「飼育員二年半で担当なんて、そうあることじゃないだろ」
「別に不満があるわけじゃないですよー」


ふうん、と頷きながら茅野は、条と森は一体何歳なのだろうと考えていた。
条はおそらく二十代半ばだろうが、森はどう見ても二十歳前後だ。
逆算すると十代半ばからここで働いていることになる。
もしかしたら華奢で童顔なせいで若く見えるだけで、案外二人は同年代ということも有り得るが。

壁掛けの時計を見て、ラビが言う。


「茅野、そろそろ行くか」
「あ、はい」


立ち上がると、森のココアを持ってきたアンニカが、「食器そのままでいいですよー。いってらっしゃい」と笑った。
朝からその笑顔に癒される、という職員は多いだろう。

茅野は会釈を返すと、ラビの後について、餌倉庫へ向かった。