ラビと茅野が地面に降ろしたクルマから降りると、先にさっさと飛んで行ってしまっていた条たちのクルマは、すでに駐車場に停められていた。
赤煉瓦造りの、シンメトリーに造られた長方形の建物へと入って行く。
事務所は、茅野が最初思っていたよりもずっと大きくて、しかしほとんどの部屋を使っていないとラビが言っていた。
もともとは職員寮として使うために作ったらしい。
だが町が充実するに従って、職員たちは寮を出て町に住むようになってしまった。
町は栄えてはいるが広さはそれほどないため、例え急ぎの用事が出来ても、困る距離ではないのだ。
それならばと、商店や食べ物屋が近い方へと移ってしまったのだという。
各ゾーンの担当飼育員には独り者が多く、彼らには今でも部屋が用意してあるが、なにかあった時にすぐに動物たちのところへ駆け付けられるように、各ゾーンの事務所で寝泊まりしている者が多いらしい。
部屋へは着替えを取りに戻ってるようなもんだ、とラビは言っていた。
茅野も、そのたくさん余っている部屋の一つを用意してもらった。
二階の、森の隣の部屋だ。
同じ階に扉が並んでいるが、どの部屋を使っていてどの部屋が空いているのか茅野にはわからないので、他の扉は触らないようにしている。


