正面玄関まできた時にはこの数分で更に雨が強くなっていた。
やべえなこりゃ…
玄関にたむろっている奴らで「俺、今日傘持ってきてねぇ」「俺もー」とかいう会話をしていた奴がいたが俺はその横を半どや顔で通り過ぎてやった。
屋根のある端あたりまできて、そろそろさそうかと思った時。
視界のはしに見覚えのある人影が写り込んだ。小坂だった。
俺から少し離れた所で、鞄を抱えたまままるで雨の粒を一粒一粒数えるかのように空を見上げていた。
何をしてるんだ?帰んないのか?と思い、よく見ると小坂は傘を持っていなかった。ただ呆然といつまでも無表情でつったている。
本当になにも動かないので、とりあえず俺は帰ろうか…と思っていたその瞬間、
小坂はいきなりなにもささずに雨の中に突っ込んで行った。

