小声で声をかけてきたのは俺からななめ後ろの席にいたマリカだった。
「なんだマリカか…」
「なんだってなにさぁ。」
「いやてっきり、教師に居眠りが見つかったかと思ったじゃねーか」
「見つかるよりはいいでしょぉー?声かけてきたのがマリカで良かったねー」
「ハイハイ。そうですねー」
「あー、そうそう純ちゃん。今日マリカ日直じゃない?だから帰りも先に帰ってていいからね」
「ああ。そのことなら朝に聞いたぞ」
「うん。分かるけど…だからそのぉー」
「なんだ…」
「だから…月夜ちゃんと帰ったら?」
「…は?」
なんかいきなり頭になかった単語を言われたせいで、変な声を出してしまった。
「なんで?」
「だって今日一緒に登校してきたじゃん。だったらまた一緒に帰るのもおかしくないでしょ?月夜ちゃんだってきっと嬉しいと思うよ」
「いや別に朝のはたまたま会って一緒に来たわけだし。そんな仲じゃあ…」
「え?お前小坂と付き合ってるんじゃねーの?」
と、いきなり会話に入ってきたのはマリカの隣の席、つまり俺の後ろに位置する席にいたまるで野ネズミでも見て面食らったような顔をした古田洋介(こだ ようすけ)だった。
「はぁ?お前なに言ってんの?」
「いや、だって…噂で十和野と小坂が付き合い始めたって聞いたから…違うの?」
「違うに決まってるだろ。誰だそんな噂言い出したやつは…」
「今日の2人の登校してる所見てそう勘違いしちゃったんじゃない?実際マリカもそう思ったし」
「でもいいんじゃね?あの小坂と嘘でもそんな噂がたっててもまんざら嫌でもないだろう?」
「いや、迷惑だよ。小坂も困るだろうし…そういう噂はさっさと消した方がいい」
「そうか〜?小坂、転校生で可愛いから結構裏で人気なんだぞ?」

