「何って…授業で使う道具をはこんでんですよ。…お前、あれだよな?転校生の小坂だよな?」
小坂は黙ってコクリと頷いた。
「貴方は私を知っているようだけど、私は貴方のことまだ知らないの。…教えてくれる?」
何だか透き通るような綺麗な声だった。「あ、ああ!俺は十和野純。まだ覚えてないだろうが、お前とおんなじクラスなんだぜ。覚えてないか…」
「へえ、十和野くんか……うーん、まだ覚えられないや」
「ははっ、まあ、そうだろうな」
へえ、なんだ
意外と話しやすそうなやつだな…
「ねぇ、何で貴方が運んでいるの?」
「え?何でって…」
そりゃあ…

「じゃんけんで負けたから…」
「じゃんけん?」
「さっき教室で男子たちが固まってじゃんけんしてたの見なかった?」
「ああ、それで負けて荷物運びをしているのね。貴方は…」
すると、小坂は俺の後ろに置いてあった大荷物を覗いた。
「とっても重そう…とんだ災難ね」
「ま、今日だけじゃないし別に俺は平気だよ。」
「今日だけじゃない?」
小坂は首を傾げた。