推定両思い

「……帰っちゃった……ね……」


「うん…」


いざとなると、何を話したら良いのか分からない ……。


まだカップには、少しカフェオーレが残っている。


会話もなく、カフェオーレも飲み干してしまい、ますます気まずいモード。


「……今日さ、話があるって言ったのはね、麻子さんと秀一郎の話もなんだけど、実は……」


やっと颯太が話し出した。


「麻子さんがバンドを見に来た後、学校で見かけたんだ。で、話かけようかな?と思ってたら……」


思ってたら?


「……名越さんが隣に居て…」


隣に居て?


―――一目惚れ?


違う?


「……何か、いつもすっごく視線を感じて…」


……違った。


「……アタシが?アタシは、颯太君の視線を感じてたよ、いつも、いつも…」


……お互いに、勘違い?