推定両思い

思わず大声で言ってしまった。


……しかも、呼び捨てで……。


「……呼び……捨て……?」


颯太が驚いている。


どうしよう……いつも呼び捨てで口に出してたから……。


「凜ちゃん、颯太って“君づけ”より呼び捨ての方が、颯太!!って感じするよね」


助け船が出た、秀一郎君から。


「俺のイメージはどんななんだよ、一体……」


颯太がブツクサ言っている。


「そうだ、颯太の秘密を教えなくちゃね」


……忘れてた、そうだった、秘密、秘密!!


「秘密って何?」


「馬鹿!!言うな、自分で言うから……」


怒ったかと思ったら、だんだん小声になる颯太。


「じゃ、俺達はお先に♪会計よろしく、颯太君っ♪」


「えっ……ちょっ……」


秀一郎君は、伝票の下に千円を置くと、麻ちゃんの手を引っぱり、帰ってしまった。


颯太と突然、二人きり。