あたしは死にそうなくらいに走った。
慣れないミュールが靴擦れをおこしている。
それでも一心に走った。
そんなの気にしている暇なんかなかった。
"凛人が、倒れたの"
言われた病院は、あたしのお母さんと同じ病院だった。
待ってて、凛人……っ、
すぐに、すぐに行くから!
祈る様な気持ちで、あたしは病院の待合室に駆け込んだ。
「あっ!千尋ちゃん!」
「美雪さんっ!」
息を切らしている暇なんかなかった。
「凛人はっ?凛人はどこですか⁉⁉」
「大丈夫だから、千尋ちゃん。落ち着いて!」
美雪さんは怖いくらいに落ち着いていた。
あたしの背中を軽く叩くと「行こうか」とあたしの手を引いた。



