365日。






マフラーを、見られない様に鞄の中に忍ばせ、あまり履き慣れていないミュールを履く。




どうだ!とばかりに勢いよくドアを開ける。





「やった!」


まだ凛人は来ていなかった。




「さすがに45分前には来ないか〜」


あたしは苦笑いしながら、玄関前のちょっとした階段に腰を下ろす。




「今日はいい天気だね〜♪」


空に向かって話しかける。



聞こえてる?


お父さん、

お母さん。







………これで何回目の移動だろうか。


さっきからなんとなく落ち着かず、階段と庭のベンチを往復し続けている。




腕時計に視線を落とす。




「……14時」


未だ凛人は来ない。




……あ。


もしかして、どこかに隠れてる?


あたしを驚かそうとして。

意地悪な凛人だからやりかねない。




閃いたあたしは家の周りをぐるっと一周。


細かいところも探した。





………でも、


「いな……い」




珍しく寝坊かな…?


寝てるって言ってたけど、よく寝れてなかったっぽいし。