そして、ついにやってきた。
凛人の誕生日であり、あたし達の1年目記念日。
凛人があたしの家まで迎えにきてくれると言ったので、時間まで家にいる事にした。
今日は、この日のために買ったピンク色のワンピースを着た。
実は、あたしも近くのコンビニで少しだけバイトして、密かにお金を貯めていたのだ。
愛ちゃんの熱血指導により、あたしが料理をし始める前までずっとお世話になっていたコンビニ。
顔馴染みって事もあり、働きやすかった。
それに合わせて、凛人からもらった鍵型のペンダントにウサギのブレスレット、そして、左薬指にシルバーリングをはめた。
そのまま、仏壇のお父さんとお母さんに手を合わせる。
「…そういえば、今日はお母さんの命日だね……」
お母さんが亡くなったあの日、あたし達は始まったんだったね。
決して忘れる事のない、あの日。
今日はお母さんが亡くなった日であり、凛人の誕生日であり、そして、あたし達の始まりの日でもある。
「なんか、今日1日でたくさんの事があるね、お父さん、お母さん」
仏壇のお父さんとお母さんに話しかけながら、今の幸せを実感していた。



