「…あ、いた。よかった。いないのに言ったらただのアホだしな」
涼介はあたしに笑いかける。
その笑顔はたぶんあたしに向けられたものなのに、周りの女子はきゃーきゃー言っている。
あたしに、なにがあるの?
何もないじゃん。
あたし達、"ただの幼馴染"じゃん………
「俺、ずっと千尋好きだった。……こんな俺だけど、付き合ってくれないかな?」
その言葉の後、あたしに襲いかかるのは、女子からの痛すぎる視線の数々。
な、なに言ってるの?
人前だよ?
フツーに先生いるし、皆いるし、凛人だっているし…。
あたしは確かに涼介を好きだったけど、それはあくまで"過去の話"であって、今じゃない。
今好きと言われても、あたしには凛人がいる。
今あたしが好きなのは、凛人だから。



