下を向いて歩いていると暗闇の向こうから「おい」と声が響く。
外は真っ暗だし、こういう時に男の人の声聞くと怖い…
誰か呼んでるみたいだけど、この辺りには人が全くと言っていいほどない。
誰を呼んでるんだろう…?
気になったあたしはそっと顔を上げた。
「……え…っ」
あたしはその人を見て驚いた。
「…どうしてここにいるの?……凛人」
そこにいたのは、紛れもなく市原凛人だ。
「…森田から聞いた」
凛人がゆっくりと言う。
「辛いだろ?…泣け」
「え…っ」
凛人があたしの肩を引き寄せて、強く、抱きしめた。
「っ、りん、と…?」
凛人が抱きしめる力を強める。
「…っ」
凛人…
あったかいね。
凛人の温もりに、あたしは涙をこぼした。
凛人…
なんでこんなに優しいの。
どうして…?



