365日。






お母さんが、薄っすら目を開けた。


「……ち…ひろ………」



掠れた声で、お母さんがあたしの名前を呼ぶ。


そして、あたしの手を握り返してくれる。



「お母さん……っ」


息が、どんどん……浅く…なってる………





嫌……


お母さん、すぐに元気になって家に戻ってくるよね?


ね?

そうだよね…っ?





病室にお医者さんが入ってきた。


あたしはお医者さんに駆け寄った。

「お母さんは…っ、助かりますよね⁈また家に戻って来られますよね?」







頷いてほしかった。


お医者さんは、黙ってしまった。





「…出来るだけの処置はしました」

お医者さんが言う。



出来るだけの、って、お母さんは助からなきゃいけないんだよ?



あたしはお医者さんの白衣を掴んで

「助かりますよね⁈助かるに決まってますよね⁈」

と叫ぶ。





お願いだから、頷いてーーー