もう二時間以上歩いてる。足はクタクタで棒のようだけど、気にしてはいられない。今日は初日だ。いきなり弱音なんか吐きたくない。

いま、私はちょっと曰く付きの山に登っている、村の人達は神様のいる山だから近寄るな、悪魔が住んでいる山だ近付くなと、どっちつかずの事を言っている。母は何も居やしないと言っていた。個人的にはそのどちらかはいてもらいたい、その為に私はここを選んだんだ!

舗装されていないデコボコな道を杖で掻き分けて進む事さらに1時間、ちょっとした広場に出た。切り立った崖のちょっとした広場。少し休憩しようと思ったら異様なモノが目に入ってきた。

「何、これ…」

目の前には新芽がある。土からニョキッと生えていて、二股に別れ葉が交互に1枚づつ。普段なら可愛いと思うのだけど、その大きさはなんと私の背丈程ある
。いつのまにか私はコビトにでもなったのかしら?
その新芽の葉に人が寝転がっているのがわかった。少し考えた後、私は先手を打つ事にした。

ドカン!

力いっぱい杖で新芽の根を叩いた。すると人が葉から地面に落ちギャアと言った。男の子の声だ。

「痛たた…あれ、何だ?落っこちたのか。」

キョロキョロとあたりを見回し、

「どこだここ?」