木が燃え、次から次ぎへと倒れて行く。最初この目がまだ治ってなくて、そんな風に見えるだけかな、なんて思ったけど、どうやら違う。激しい熱を感じる。

今私は森に入って数10mmの所にいる。あたり一面火の海だ。でもナナシはこの方角に歩いていった。あの子には法力があるし、上手くこの災害から脱出しているだろうけど、そうじゃないかもしれない。探さなきゃ!

すると、足に蔓のようなものが巻き付き私を上空へと持ち上げた。数メートル引っ張られ地面に落下した。もちろんクッションの葉が用意されていた。こんな事をするのはナナシしかいない。やっぱり無事だったんだ!

「あなた…誰?」

ナナシとは程遠い出で立ちだ。そこに立っていたのは、長身で痩せ形、髪は前髪も後髪も均一に腰に届く程長い。こちらを見てる。目のクマが凄く、まるでパンダだ。顔も相当に痩けている。はっきり言っちゃ悪いが、とても不気味だ。その男はチラッと私を見ただけで、また正面を向く。そして一言。

「そいつは俺の分身だ。近くにいれば安全だ。」

すると私の乗っている葉から人が現れた。そっくりそのまま不気味な男が出てきた。AとBで表すなら最初にいた不気味男A、この人は私から3歩程離れた前方に。不気味男Bは私と一緒に葉に乗り、斜め前に立ち、庇うように付き添っている。


私は不気味男Aの見ている方向に目を移した。

火の中に男の人が立っている。いや男か女なのか、そもそも人なのか、全身が火に包まれていて、おそらくローブのような物を羽織っている。うっすら顎髭があるように見えた。なのでとりあえず男と判断した。そして火の男は、私が現状を把握しようと考える間もなく喋り出した。