あの人と私は同年、34であります。生まれた月など2ヶ月程しか変わりません。なのに人としてこのような差があって良いものなのですか?!

それはいい。それはいいとしても、あの人は私にどれだけ助けられてるか知らないんだ!私が苦労してこしらえた食べ物もすぐ、貧しい民に分け与えてしまう。私は文句も言わず、またあの人が食べれる物を探す。愚直な弟子達にこんな気遣いができますか?私ぐらいなもんだ!それなのにあの人は優しい言葉1つかけてくれない。嫌なやつだ。人でなしだ!何が神だ!イスラエルの王だ!

私は違う。馬鹿な弟子達みたいに、あなたに付いていけぱ良い事が訪れるなどと、浅ましい考えはこれっぽっちもない。

あの人は美しい人。あの人のそばに居れればそれでいい。あの人は嘘ばかりつくし、その上見栄っ張りだ。けれども美しい。ただその1点のみ、この世にあるもの全てが滑稽に感じる程なのだ。だから私はあの人を愛している。

私に対する無慈悲な態度もこの際許しましょう。もうこんなくだらない事は止めて、弟子達もどこかに置いて、そうだ!私とお母のマリア様とあなたでつつましく暮らそうじゃありませんか。私はそれを望んでる。それ程あの人を愛しているのに……!
それなのに…


旦那ぁ、ささ、こちらです。ふざけるなくそ!何が「お前は不仕合わせな人だ。生まれて来ない方が良かった」だ。ちきしょう!よりにもよって弟子全員そろってる場で!へっへっへ、だがこれでお前も終わりだ。ざまあみろ!
何だ急に!え?泣いてなんかいやしませんよ旦那!阿呆な事を。それよりもう少し早く歩けねぇのか?

あいつはケデロンの小川の彼方、ゲッセマネの園にいる。望み通り裏切ってやったぜ!へっへっへ。