北条くんがノドを嗄らして、先輩バスケ部員の応援をしてから1年が過ぎた――


2年生になった彼は見事レギュラー入りを果たし、中体連でも大活躍だった。

今回は応援には回らずに、試合に出ていたから、今年はガラガラ声にはなっていないと思うんだけど、実際のところは分からない。


なんで、彼の声がガラガラかどうか分からないのかというと、2年生に進学したあたしは、彼とは別のクラスになっていたからだ。

全校集会のときとか、たまに廊下でチラッと姿を見かけることはあるんだけど、2年になってからというもの、彼とはただのひとことだって言葉を交わしていなかった。


何度か目が合ったことはあった。

「よっ」

……って、ただそんな短い言葉だけでも、彼のほうからかけてくれるんじゃないか、って期待したこともあったんだけど、実際、彼の声があたしの耳の鼓膜を振るわせることは一度もなかった。


それなら、いつまでも待ってないで、あたしのほうから声をかければいいだけのこと。

簡単じゃん♪

至極カンタンなことじゃんか♪♪