“ニンゲンって……ニンゲンって悲しくても笑えるんだね……”


「まっ、そーいうことで……同じ目に遭ってみて、はじめてお前のキモチが分かったってことさ……」

「そっか……そーいうことか……」


“あたしが入院してるあいだに、北条くんは北条くんでいろいろあったんだ……”


他人の痛みが分かるようになったのは、どうやらあたしだけじゃなかったみたい。


「だからな、お前にわざわざ残ってもらったのは、お前に謝りたかったからさ……」

「え……」

「あのときは……あのときはごめん。ホント悪かったよ」

そう言って、両手を合わせて頭を下げる彼。

いや、ちゃんとこの場面を説明するとするなら、彼はベッドに仰向け状態だったから“頭を下げた”というよりは“まくらから頭を少し浮かせた”と表現するのが正しいのかもしれないけど……。

「あのときの俺は、お前のキモチも分からずに、随分とひでぇことを言っちまった。悪かった。本当にごめんな」