そのとき……、


スー……ハー……スー……ハー……


あたしは自分が呼吸をしていることに気がついた。


“なに? このニオイ……”


消毒液みたいなニオイがする。


ゆっくりと目を開けるとぼんやりとした視界の中に、真っ白で清潔な感じがするのに、だけどなんか冷たい感じのする天井が見えた。


“ココ……あたしの部屋じゃない……”


意識は朦朧(もうろう)としていたけど、それくらいのことは把握できた。


“あたし……なんで知らない部屋で寝てるんだろ……?”


「先生! 患者さんの意識が戻りました!」

聞き慣れない女のヒトの声が聞こえる。


“え、誰……? 先生って……? 患者さん……? ……ってことは……”