どのくらいの時間が経っただろうか。
きっとかなり長い時間
泣いていたに違いない。
でも奏は何かを話しかけてくることもなく
静かにずっと私の隣に
すわっていた。
でもひとしきり泣いたおかげか
私は落ち着いていた。
「なぁ、えみたん。」
私が落ち着いたのを
見計らってか奏が話し始めた。
「えみたんは、あいつのこと…
海斗のことが好きなんだろ?」
声がうまく出せずに
わたしはただ小さくうなずくことしか
できなかった。
「俺、海斗のことも
えみたんのこともよくわかんねーや。」
奏の声色はいつもふざけた感じでは
なかった。
「なんで、お互いそんなに怖がってるんだよ。
いつまで幼馴染のままでいるつもりなんだよ。」
わたしはだんだん
奏の言ってることが
理解できなくなっていた。
海斗には今
歩という彼女がいるのにもかかわらず
奏は一体何を言っているのだろう。
「もう、見てるこっちのほうがじれったいよ。
えみたん、なんか勘違いしてるみたいでけど
海斗は生まれてから一回も
彼女なんかできたことないからね?」
「…え?」
「じゃ、俺が言いたかったのは
それだけだから。」
そう言って奏は
公園をでていった。
「海斗は生まれてから一回も
彼女なんかできたことないからね?」
私の頭の中では
奏のこの言葉がリピート
され続けていた。

