笑香side




放課後用事のある夢未とは
途中でバイバイして
私はファミレスに向かっていた。


♪カラン、コロン♪


ファミレスのドアを開けると
奏が満面の笑みで手を振っていた。


「えみたーん!!
 こっちこっち!!」


「あ、奏!!
 遅くなってごめ…
 …なんで…いるの??」

奏だけだと思っていた
座席には今最も会いたくない人がいた。

「じゃ、俺はこれで!」


「ちょ、待って、奏!!
 どういうこと!?」


「こういうことだよ!!
 それじゃあな!!」


「え、奏っ!?」


私の呼びかけはむなしく
奏は手を振りながら
出て行った。



「…どうして…
 ここにいるの…?…海斗…」


「どうせ俺がよんだって
 来てくれねぇだろ?
 だから奏に呼び出してもらった。
 笑香、話がある。」


「私には話なんかない。」


そう言って私は
体の向きを出口のほうへ向けた。



―パシッ―


帰ろうと思って足を動かしたら
海斗に腕を掴まれた。


あの日の屋上と重なって
一瞬体がひるむ。


「離してよっっ!!」


そう言って
海斗に掴まれた腕をふりほどいて
ファミレスを出た。