「笑香…俺、お前に何かしたか…?」


こんなこと言われるだろうなって
大体は予想できてた。


でも、私の返答は決まっていた。


「ううん、違うの。
 海斗に彼女がいるって昨日知ってね、
 私と海斗が一緒にいちゃ
 歩に悪いと思って。」


なるべくいつも通り
明るく、笑って言う。


「は、おま…何言って…」

「あ!!昼休み終わっちゃう!!
 お弁当食べなきゃ午後持たないんだよねー」

「おいっ!!」


呼びかける海斗を無視して
私は体育館裏を後にした。


海斗の言い訳なんか
聞きたくなかった。


聞く勇気がなかった。


もう涙がこぼれ落ちそうで
我慢できなかった。


「っうぅ…どぉして…」

こんなにも自分が海斗を好きだとは
思っていなかった。