私は海斗が目に入らないように
授業中もほとんどうつむいていた。
途中、先生に
大丈夫?と何度も聞かれたが
なんとか乗り切った。
ほんとは大丈夫なんかじゃないのに。
泣きたいくらいに辛いのに。
休み時間は夢未がずっと
そばにいてくれた。
いつの間にか昼休みになっていた。
夢未と向かい合ってお弁当を
食べているときだった。
「…笑香…。ちょっといいか…?」
そう、海斗に呼び出された。
海斗に名前を呼ばれるだけで
辛かった。
夢未をみると
「がんばれ」
そう言ってる気がした。
「…うん。」
そう聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさの声で
返事をして私は立ち上がった。
海斗と二人
賑やかな廊下を通り
体育館の裏に向かっていた。
歩いてる最中
私と海斗の間に会話はなかった。
私は涙がこぼれまいと
必死だった。

