笑香side



私が暗闇のなかをさまよっている間も
周りの空気は冷たいはずなのに
不思議と私の体は手からずっと温まっていた。



どこからかずっと私の名前を呼ぶ声がして
なんとなくこのまま止まってちゃ
いけないと思って私は
残ってる体力を振り絞って
その声のするもとへ歩いた。


そしてたどり着いたのは
一つのドアだった。


そのドアを開けると…




前には今にも泣きそうな
海斗の顔。



あぁ海斗の声だったんだ
海斗の温もりだったんだ


妙に納得して
安心する自分がいた。



でも、結局ありがとうも
なにもいえないまま海斗は帰って行った。



そう、
好き
とも伝えられず…。