「おはよ」


「おはよー。あんたら相変わらずバカップルね」


「否定はしないでおく」


「いや、否定しろよ」


この子は相田(あいだ)南(みなみ)。私の友達。


普通科の中で、唯一私が声優やってる事をしってる子。


髪はショートで、ばりばり運動部な顔してるのに、見かけに合わず実は手芸部の部長をやっている。


「ほんと、あんたらさあ?お互いがその気になればリアルで漫画っぽくなるのにね」


超人気モデルの彼氏と、みんなに隠して声優やってる彼女の障害多きラブストーリー。


そういった南に、私はただ肩をすくめた。


漫画の主人公ねえ……当事者はごめんだけど、主人公の友人くらいならなってみたいかな。





後に、私は一瞬でもこんなことを考えた事を心から後悔することになる。