いじわるで優しくて、大キライ

ロビーのソファーにウトウトしながら、誰かを待つ先ほどと同じ女の姿があった。

「はぁ??」

悠は半ば、呆れて笑っていた。

「おい、大丈夫?風邪ひくよ?」

「あっ!!!」

「誰か待ってんの?」

「あ、あの、。あなたを!!」

悠はびっくして、飲んでいたビールを吹き出してしまった。

女はハンカチを出すと悠に差し出した。

吹き出したビールを吹き終える。

「なんなの?誰?俺の知ってる人じゃないじゃん??」

「わたしは吉本 遥といいます。浅田、悠さんですよね?」

「そうだけど。なんで俺のこと知ってんだよ」

「家庭教師協会から派遣されて来ています」

家庭教師…?

悠は一瞬、頭をフルマックスで回転させた。

親父だ。

なるほど。

そう来たか。

ヘェ〜。

悠は、吉本 遥を見下ろす。

親父がそうゆうことやんならね。

「ふーん。そう。じゃあ、とりあえずいきますか?」

悠は遥を、招き入れる。

部屋の雰囲気と、先ほどの鈴音との事をシンクロさせる遥。

察したのか、遥はソファではなく、ダイニングの壁際に立ったままだ。

「座れば?」

「あ、はい」

ダイニングの方に座ろうとした遥に

「いや、こっちで」

悠はソファの方へ手招きした。

事をし終えたままのソファ。

遥は、こっちでいいです。

そういって、カバンから教材をダイニングテーブルに準備しだしていた。

そんな遥の後ろから、悠は覆い被さるように、彼女の背中越しに、テーブルを押さえつける。

ドンッっ。

強い大きな音がテーブルから鳴り響いた。

悠の左手は彼女の背中越しにテーブルを、叩きつけ、右手は彼女の背中越しに、彼女の右手クビを掴んでいた。

「な、なにすんるですか?や、やめて、…ゥクダサィ…」

怯えたている、遥の声は震えていた。

「なんで?」

「なにが。…なんで、ですかぁ。ほんとに冗談やめて」

悠は怯える遥に、自分の体を更に近づけて、右手を更に強く握りしめる。

「だって、こんな夜中にノコノコ、知らない男んち、ついてくる方が悪いよ?」

「だって、それは」

「自己責任でしょう…」

悠は机を叩きつけていた左手で彼女のウェストを抱きしめて、遥のクビ筋に唇を近づける。

「本当に、やめて、…ください…」

「いい匂いすんねぇ…」

「やめて…って、…」

だんだん、泣きそうになる遥。

悠は、彼女の右手を回して、彼女のことを自分の方に向けると、両手でダイニングテーブルに押し倒す。
とはいっても、高さ的に倒れるまではいかないのだが。

悠は彼女の顔をじっと見つめる。

へぇ。ちゃんと見ると結構美人なんだ。

メガネでわからなかったわ。

無理矢理、クビ筋にキスをしようとする。

両腕が、自由になっていた遥は怯えながら、悠の隙をついて悠のお腹に両手でパンチを入れた。

「ってえええっ」

悠はその場で少し、動きが止まってしまった。

「なかなかやるじゃん?」

「離してよ!!」

「嫌だね…」

本気でキスをしてくる悠。

彼女も思い切り抵抗していた。

しかし、力では勝てないから。

強引にキスをされてしまう。

それは、時間的にはとてもみじかかったのだろうけど。

悠が唇を離して彼女のことをみると

彼女の頬に一筋、涙がこぼれていた。

彼女は急いで教材をしまうと、なにも言わず、ただ、悠を睨んで出て行った。