『なにしてんだぁああ!!!!』

呆然と立ち尽くす少年と、その足元にはサラリーマン風のスーツの男がぐったりとしていた。

『なにしてんだっ!!!』

さらなる怒号と、取り押さえられる少年。

『大丈夫か??おいっ、しっかりしろ!!救急車よべっっ!!!』

深夜3時。

新宿の路地裏。

人気も少なくなっていたが、パトカーと救急車のサイレンがけたたましく鳴り響く。

『名前はっ??』

「…」

『名前はっていってんだよ??おいっっ!!」

彼のポケットをまさぐり、所持品。名前のわかるものを探そうとした。

「…」

新宿の交番に連れて行かれた少年は、頑なに口を閉ざし、目をつぶっていた。

1時間ほど、黙り混む少年に警察官はもう、限界だと、彼の胸倉をつかむ。

少しして、1人の警察官が暗い部屋に入ってきた。

『軽い脳震盪だそうです』

よかった。生きていた。

胸倉を掴む警察官に、

『アサダ ユウです』

それだけ告げた。