5月。

遥の元へ、涼がやってきた。

「久しぶりです!」

「元気でした?あの時はありがとうございました!」

「いや、なんも役に立ってないです。昼たべませんか?」

二人はJ大学の学食にはいる。

「オシャレですね。さすがJ」

学食というより、カフェのような雰囲気だ。

「K大だって、カフェオシャレじゃない??」

遥はオムライスのランチを。

涼はカツカレーのランチを頼む。

「結局、家庭教師、やってるんですってね?」

「あ、うん。涼くんが言う通りだったみたい。お父さんへの嫌がらせをしたい、みたいな…」

「あぁ、やっぱりね。兄貴元気なんですか?」

「うん、元気だと思うよ。連絡したら?」

「まぁ、そんなに頻繁に連絡を取らないですよ」

1時間後、

「涼君、今日はありがとう!私これから午後の講義あるんだ!」

「あ、はい。また。…」

「オイオイ!遥やるねぇ。双子両方ゲットかい??」

ニヤニヤしながら、美月が近寄ってくる。

「もう。美月は。ふざけないでよー」

「で、どっちが本命なのよ?」

「どっちがって…」

「同じ顔なら、さっきのK大のほうがいいじゃん!」

「そんなんじゃないよ」

「いやぁ、問題児留年イケメンよりはー、K大イケメンだろーーー。普通ーーー」

「っていうか、何もないんだよね…」

その日の夜。

悠の部屋。

相変わらず、悠は憎まれ口を叩きながら、遥の指導を不真面目に聞いていた。

二人きりで、何もないことの方が不自然なのだ。

あれだけ、いろんな女の子たちを連れ込んでいるくせに。

いや。

月水金以外に。

それをしているのかもしれない。

だから、遥にはなにも求めてこないのかも。

あの、公園でのキスから、本当に全く何もないのだ。

「なに?さっきから」

悠は自分のことをじっと見つめる、遥の顔を覗く。

「え?あぁ。なんでもないよ…」

「具合わりーの?」

「違うよ。大丈夫」

ねぇ。

あのキスはなんだったの??

なんと、答えがかえってくるのだろうか?