ひょんな事から、家庭教師を結局請け負う事になった遥。

毎週、月水金は悠も真面目に勉強していた。

「あのさぁ。悠は、本当は分かってるでしょう?」

「なにが?」

「勉強。わからないフリしてる。よね?」

遥から見ていて、そう感じるのだ。

決して、勉強ができないわけでもない。

寧ろ、出来る方だ。

部分的には、遥よりできている事がある。

「だったらどーだっつーんだよー」

「きちんとした大学、受けなよ…。来年」

「はいはい。ってか、本当キョーミねーんだよ。そういうのさ」

飯食おうぜ。

悠はそういって、キッチンでなにやら準備をする。

「やるよ」

「お前、案外料理うまいもんな」

「案外って余計。で、学校はどうなの?」

「あぁ。まぁ、普通だよな。静かにしてる」

「無難だねぇ。それが」

「さすがに、高校2浪はやばいからなぁ」

「そっちは?サークルとか、大学とか?」

「あぁ、うん。サークルはもうやめようかと思ってる。就活あるし」

「ふーん。仕事したくねーなぁ」

「そう?」

「ゼーッたいいやだね。朝から酒飲んで、プラプラしたい」

「してるでしょ、既に」

「お。ゆうねぇ」

遥は悠の本当の事をまだ知らない。