「無理をするなよ、由衣」
「うん。ありがと…」
大翔の家へ着くと、水を差し出された。
本当は酔いなんて、とっくに覚めている。
「今日は楽しかった?琉二は最初はクセを感じると思うけど、いい奴だから」
「うん。そう思う。それより大翔…」
「ん?」
どうやって聞こう。
一香とどういう関係?なんて聞けない。
それに、友達だということも知っているのに、今さら何を聞けばいいのだろう。
「ううん。何でもない。次は、大翔も一緒がいいな」
「そうだな。疲れたろ?もう寝ろよ」
「うん。シャワー浴びるね」
そう言って、バスルームを借りるとシャワーを浴びた。
こんなに二人の関係が気になるのは、やっぱり私は大翔が好きだからなのか…。
それでも、心の片隅には聡士の存在があって、ちらちらと邪魔をしてくる。
答えを出さないといけないと思うのに。
聡士との関係より、大翔とこんな中途半端な関係を続ける方が問題だ。
だって、大翔は真剣に私を想ってくれているのだから…。
だけど…。
一香との関係がきちんと分かるまでは、何も決められない。
「はぁ。何で、こんな事になっちゃったんだろう」
シャワーを終えて着替えると、携帯にメールが届いていた。
それは琉二からで、”由衣が知りたい事、必ず分かる時が来るから、今はあんまり思い詰めるなよ”
そんな風に書かれていた。
「どういうことよ…。こんな事を書かれると、余計に思い詰めるじゃない」
琉二は分かっているんだ。
私が知りたい事を…。
でも、待って。
今日初めて会ったのに、そこまで分かる?
勘が鋭い人だとしても、琉二の言い方は確信を持っている様に感じる。
どういう事?
琉二は、何を知っているの?

