カジュアルなスタイルで、笑顔いっぱいの一香の横には、見慣れない男の人が立っている。
背格好はがっしりとしていて、色黒。
ほりの深い顔立ちは、派手な印象もあるけれど、少し垂れた目で威圧感はない。
背が高く、美形な感じだ。
大翔も聡士もルックスがいいから、3人で並ぶとかなり目立ちそう。
「由衣は初めてだよね?琉二だよ」
「あ、初めまして」
やっぱり、この人が琉二か。
「初めまして。あんまり堅苦しいの苦手だから、普通にタメ語で話してな?」
「うん…」
少し緊張する私とは違い、琉二は屈託ない笑顔を向ける。
「琉二も学生時代からの友達」
聡士がフォローをする様に言ったのだった。
「そうなんだ」
ということは、大翔とも付き合いが長いという事か。
「じゃあ、行こう。この先の創作料理の店を予約してあるの」
張り切っている一香は、先頭を歩き案内してくれる。
その横に並んだのが聡士だった。
あいつってば、何で初対面の琉二と私を並ばせるような歩き方をするのよ。
まったく、気が利かないんだから。
何の話をしよう…。
そんな事を考えていると、
「由衣って大翔の元カノなんだってな」
琉二が話しかけてきた。
いきなり呼び捨てで呼ばれたのもビックリだけれど、大翔とのことを聞かれた事はさらにビックリだった。
「し、知ってるんだ」
大翔が何も話してくれないから、誰がどこまで話を知っているのかが分からない。
「知ってるよ。名前は知らなかったんだけど、最近きみの事は教えてもらった」
きっと、一香や聡士の事があってから、みんなが知る事になったのだろう。
「大翔から聞いたの?」
「あいつからもだし、聡士や一香からも聞いてる」
「そう…」
それにしても、いくら大翔たちの友達とはいえ、初対面なのにこんな話はちょっと疲れる。
「不思議に思わないか?」
「何を?」
琉二を少し面倒臭く思った時、さらに面倒臭い質問をされた。
不思議って、何を不思議に思えばいいのよ。
「今さら、大翔が由衣の事を俺たちに話した事」

