軽く触れた唇は、少し冷たくて、それでもどこか心地いい。

自然と目を閉じると、聡士の舌が私の唇を軽く突いたのだった。

「ん…?」

こんなシチュエーションの中で、色気の無い私の返事に、聡士は唇を離すと吹き出したのだった。

「由衣さ、子供じゃないんだから」

よほどツボに入ったのか、涙目で笑っている。

「わ、笑わないでよね!いきなり突かれて、意味が分からなかったのよ」

突然、我に返った恥ずかしさに、顔が赤くなる。

それにしても、そこまで笑わなくてもいいのに。

まるで、バカにされたみたいに感じて膨れっ面になった私に、聡士は涙を軽く手で拭いながら言ったのだった。

「悪い、悪い。あんまりにも面白くてさ」

「だから、笑わないでよ」

笑いを堪えながら、聡士はスーツのジャケットを脱ぐと、ソファーへ無造作に投げたのだった。

「じゃあ、もう一回気を取り直して…」

軽く私の肩に手を置いた聡士に、私は意地悪く顔をそむけた。

「もう、しない…」

ますます子供ぽいと感じつつ、変な意地を張ってしまい、引くに引けない。

すると聡士は、優しく言ったのだった。

「ごめんって。謝るから、こっち向けよ」

「……」

「向かないの?さっきのじゃ、全然キスした感じがしないんだけどな」

どうも手慣れている感じはするけれど、胸はドキドキだ。

「しないったら、しない…」

子供ぽい抵抗をしながら、つい顔を向けた瞬間、聡士は再びキスをしてきたのだった。

「ん…」

さっきとは明らかに違う、舌を絡め合う熱いキスに足が震えてくる。

「口を開けて欲しかったんだよ」

そう言うと聡士は、息が止まるほどのキスをしながら、ゆっくりとベッドへ押し倒してきたのだった。