「ポールさん?」

背中にかかった声にポールはハッと現実に返る

マリモは既に自分の元を離れ声の主にすり寄っていた

振り返った先にいるのは
絶対を誓った君主の寵妃
いずれは正妃となり皇后になる…


そして
自分がなによりも誰よりも愛おしいと思う人


「ユキノ様。」

ポールは静かに礼を摂る
その姿を慌てて制する雪乃はやはり他の姫君達とは違い
華美に着飾る事も無く気さくで優しかった

「護衛よろしくお願いします。」


「こちらこそ。このような任務をいただけて光栄です。
何があっても必ずお守りいたします。」


ポールの酷くまじめな言葉に雪乃は「ふふ」と小さく笑って
馬に乗った

その後ろを同じく愛馬に乗ったポールが付いていく

雪乃は並走を希望するが
ポールはそれをかたくなに拒んでいた

それは
彼自身への戒めでもあった