その強さに飲み込まれる、
俺は包まれる。



でも俺から「赤色」がなくなることは
なくて、俺は「赤色」を一生
背負っていく。



親父と母さん、「赤色」から
逃げたくねぇから。


…逃げたらいけない気がするから。



俺も呉みてぇな「強さ」を持つために。






「…うぜぇ」



服の袖でゴシゴシと呉の顔を乱暴に
拭いてやった。




「うぶっ!なんだと!!
この柚子こしょう!」




…また意味わかんねぇこと言って…。



「…でも、ありがとな…」



不本意に横を向いて親父と母さんには
伝えることの出来なかった言葉を
呉に告げた。



いつまでたっても呉がなんの反応も
みせねぇから目だけ、呉に向けた。