赤い月 肆


「ありがと。
…ねぇ。」


ドアに手をかけた景時が振り向いた。


「うさぎの名前…
『紅玉』っていうの?」


「そうだ。
美しい名だろう。」


「赤い瞳で『紅玉』?
でもってアンタは、黒い瞳で『黒曜』?」


「そうだ。」


「…
ふぅん…」


景時は少し乱暴にドアを開け、ハマーから飛び降りた。


「気に入らねっ!」


「なに?」


「『紅玉』じゃねぇよ。
今は、うさぎだ。」