赤い月 肆


景時は左耳に赤く光るピアスに触れて、ヘラっと笑った。


「コレ、お揃いっつーか…
対なンだよねー。」


「あぁん??!!」


黒曜が眉を険しく顰める。

だが景時は、ヒヒヒと白い歯を見せた。


「うさちゃんがくれた。
羨ましい?」


「おまえ‥‥‥
ほんと、イイ度胸してる。
喰われたいのか?」


また溜め息を吐きながら、黒曜がハンドルを切る。

ここを曲がれば、慈愛学園の校門だ。

拾った場所まで届けてくれるらしい。
律儀なヤツ。

男同士の寒いドライブも、もう終わる。


「その度胸に免じて、紅玉はしばらくおまえに預ける。
たまに会いに来るがな。」


「えー?
ソレはヤだなー。」


「知るかよ。」


ククっと笑いながら、黒曜がブレーキを踏んだ。