赤い月 肆


(思いっっっきり、気にしてマセン?)


涼しい顔で運転しちゃって、コッチ見ないケド。

あらら。
タバコに火ィ着けたよ。

イライラしてマセン?

景時は勝手にサイドウィンドウを開け、車内に風を入れた。

横を向いて窓の外の流れる景色を眺める口元は、微かに綻んでいる。


(結局、同じじゃん。
俺も、コイツも。)


俺は、俺が死んだ後だとしても、うさぎがコイツのトコロに帰るなんて嫌だ。

嫉妬に狂う。

コイツは、束の間だとわかっていても、『紅玉』が俺の傍にいるのが嫌なんだろう。

嫉妬に狂う。

しょーがねぇよ。
好きなンだもん。

同じ女に狂ってる。