赤い月 肆


そりゃ、ザックリだわ。
後ろから袈裟斬りだわ。

うさぎにそんなん言われたら…
考えたくもない。

コイツ… カワイソ…


「カワイソーとか思うなよ?!」


(エスパー??!!)


急にギロっと睨まれ、景時はビクリと身体を揺らした。


「あれは…
仕方なかったんだ。
紅玉の心は死んでいた。
だが心が…笑顔が戻った今、紅玉は必ず俺の元へ帰ってくる。」


『死んでた』とか、気になるワードが突っ込まれマシタが、それ以前に冗談じゃねーよ。


「うさぎは帰らねーから。
てか、俺が返さねーから。」


「帰るよ。」


「返さねぇって!」


身を乗り出して威嚇する景時を一瞥した黒曜は、フロントガラスに視線を戻して妖しく笑った。


「帰る。
人の命は短いからな。」